あの天才無免許医ブラック・ジャックの若き医大生時代を描いた、彼がなぜ無免許の闇医者になってしまったのかというルーツに迫る前日譚的なお話。

ヤング ブラック・ジャック

あの完成された天才闇医者にも、かつては青臭い医大生時代があったのかと思うと、それだけでなんだか感慨深い。1960年代後半という、学生運動やベトナム戦争で社会全体が揺れていた時代背景が、彼の運命を狂わせていく説得力を持たせている。

まだ「間黒男」だった彼が、金や権力、そして理不尽な現実に直面しながらも、泥臭く命を救おうともがく姿は、原作の冷徹なイメージとは違ってかなり人間味がある。どうして彼が法を外れた無免許医の道を選んだのか、そのルーツが明かされていく過程に、なるほどそう繋がるのかと納得させられる。単なるスピンオフではなく、一人の青年の葛藤を描いた骨太な人間ドラマとして読んでしまう作品。